車同士の事故②女性の死傷リスクの高さを鑑み世界的に衝突試験の女性ダミーの開発強化へ/少数派
少数派シリーズ/社会問題
車同士の事故②女性の死傷リスクの高さを鑑み世界的に衝突試験の女性ダミーの開発強化へ
写真の女性ダミーは、単なる男性ダミーの縮小版
■衝突試験のダミー人形は女性など多様な人々を適切に代表しているとは限らない
まず投稿者の文章|車同士の事故・運転女性の事故負傷率が男性より1.45倍も怪我をしやすい~投稿の2回目(終)。今回も誤解なきよう最初に申し上げれば、一般的に言われる「女性は運転が下手」だから怪我が多いことではない。同じ事故条件であっても、身体的に華奢(きゃしゃ)なことや、過去から衝突試験の基準が男性の体格に合わせて行われ、小柄な女性への対策が遅れていることだ。前号で国内の女性運転の怪我の率が高いことを表示したが、今号は米国の別の集計でも同様なことを示している。
ここから毎日新聞を活用しました(一部、投稿者が補足した)/米会計検査院は2023年、衝突実験のダミー人形の不備を指摘し適切な対策をとるよう米運輸省に勧告した。検査院が勧告の根拠としたのは、米運輸省がまとめた男女の死傷リスクに関する2つの研究だ。13年の研究では、1975~2010年に発生した衝突事故を分析した。
運転席または助手席に座っていた人の死亡率を男女で比べたところ、女性のほうが17%(推定値、以下同)高くなった。負傷率も女性が男性を胸で26%、首で45%、腕で58%、脚で80%上回った。22年の研究では、15~20年に製造された車での男女の「死亡率」を比較し、女性の方が2.9%高いと指摘している。近年でも、女性の死傷リスクの高さは変わらない。日本や欧州では、安全性能を測るために実施が求められている衝突試験で、国連が定めた共通の国際基準を用いている。車の前面をぶつける試験では、運転席に乗せる人体ダミー人形について、平均的な成人男性を模したタイプを使うよう指定されてきた。体格が小さく骨格や筋肉量も異なる女性への影響を、見落としていた可能性がある。自動車安全の専門家で、男女差研究の第一人者でもあるスウェーデン国立道路交通研究所のアストリッド・リンダー教授は、「自動車事故における『女性の保護』は長く見過ごされてきた」と指摘する。平均的な成人女性の体格を考慮したダミーによる実用化にも取り組んでおり、「普及すれば、性差なく誰にとってもより高い安全性を確保することにつながるはずだ」と話す。
投稿者補足/頑強な男性ダミーによる衝突試験を行えば、華奢・小柄な女性も守れるとした考え方は間違っていたことになる。小柄な女性なりに適したダミーを開発して、実用に生かされれば多くの女性の安全に結びつく。
■米国は女性の小形ダミー人形が作られても女性の特徴が反映されていないので無意味?
米国では現在、運転席に男性と女性の計2種類のダミー人形が用いられているが、検査院は今も残る課題を報告書で指摘する。1つ目はダミーの大きさ。男性ダミーは成人の平均に合わせて作られているが、女性ダミーは平均よりもかなり小さい<上図参照・日本自動車研究所提供>。これは、2つのダミーの間に位置する体形の人を、広く保護できると考えられていたためだ。だが前述のリンダー教授は、「女性の負傷リスクのほうが高いことが分かった現在、男女ともに平均的なダミーをそろえれば、男女それぞれの安全性を詳細に見極められる」と語る。2つ目は形状だ。報告書は「女性ダミーは基本的に男性ダミーの縮小版。女性は男性に比べ筋肉量が少ないほか、重心が低く、腰の幅も広いといった女性の一般的な生理学上の違いを反映していない」とする。他にも女性ダミーは女性の負傷率が高い脚のデータを収集するセンサーがない、といった課題を挙げている。
ただ、より高性能なダミーの開発では今も男性ダミーが先行している。米運輸省関係者は、検査院の調査に「死者の大多数を男性が占めていたからだ。小さな女性ダミーに合わせて、計器やセンサーを修正するのも難しい」と語ったという。米運輸省は、02年には女性が事故で脚を負傷しやすく、長期的な障害を負う危険性が高いことを把握していた。検査院は、「米運輸省の対応は不完全」と改善を求めている。見直しに向けた動きも進みつつある。スウェーデンでは、国立道路交通研究所が大手自動車メーカー「ボルボ」などと共同で、これまで存在しなかった平均的な女性ダミーの開発を進めている。既に試作品はできており、ボルボ社では実際に使った試験にも取り組んでいるという。普及すれば、衝突試験と負傷リスクの性差に関連があるかどうかが見えてくる。リンダー教授は、「10年後のデータを見れば説明できるでしょう」と話す。
■再び投稿者の文章|近い未来に“同じ車種”でも男性用・女性用が作られるかも
残りの記事に、米国の研究状況や国内メーカー各社とも、より実際の女性に近いダミー人形で衝突試験による安全成果が進められていることが記されていたが、当投稿では割愛する。今後、「男女性差と死傷率」の解明が進めば車体設計に生かされ、女性の「死傷率」が大幅に減ると思われる。車体素材を始め座席周りやハンドルの大きさ・計器との距離・エアバッグの違いなどを変えることによって、安全度が高められるかもしれないと期待する。となると投稿者は先走り、“同じ車種”でも男性用・女性用が作られるかもしれない・・・。自分で言うのも何だが、案外、実現される「未来予想」かも。
前号/車同士の事故①運転女性の事故負傷率が男性の1.45倍、男性向け衝突試験基準のせいか?